近未来少年少女


洗い物をしてるお母さんの背中を見つめながら

『ねぇ…あの男の人とはどうなったの?』

一番気になる事を聞いてみた

お母さんは動揺すると思ってたけどそうでもなかった

『もう会わないし、会うつもりもないわ』

お皿を洗い続けながらお母さんが言った


『じゃ…もう一つ聞いていい?』


『一つじゃなくてもいいわよ。お母さん…もうユウキに嘘付かないから』



『……お父さんとお母さんの間に何があったの?』


ジャァァァー…
流しの水の音だけがリビングに響いた

ガチャガチャとお皿を洗っていたお母さんの手が完全に止まっていた

キュッ…
少し経って、蛇口の水が締められた


『信じてくれとは言わないわ。だけどちゃんと話しておかないとね』


お母さんはエプロンで手を軽く拭き、また俺と向かいの席に座った

…………………
…………

……………………

お母さんの口から出てくる言葉はあまりにも衝撃的過ぎて…

今まであった全ての事をパズルのように当てはめていった

受け入れたくない現実なのにそれを当てはめると、つじつまが合う事ばかりで……

お母さんが嘘をついていないと確信した


“俺はいつまでもユウキにとって、かっこいいお父さんで居たいんだよ”

お父さんのあの時の言葉……


やっぱり俺はダメだな

お母さんの事もお父さんの事も、何一つ分かっていなかった



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