一番嫌いなアイツは彼女持ち




お母さんが下にいるし、窓も開いた形跡はない。




その写真立てを手に取る。




「…」




そこに写っているのは、死んだいとこのお兄ちゃん。




お母さんの妹の、子供で1個上だった。




あたしがお父さんに暴力を振るわれて、よくお兄ちゃんの家に逃げてた。




顔とか、全然似てないけど考えてることは同じだった。




お兄ちゃんの家、遠いのに電車とかで必死に会いに行っていた。





だけど、今となってはもういない。




1人っこのあたしにとっての、希望の存在は手の届かない所に行ってしまった。




< 55 / 398 >

この作品をシェア

pagetop