今夜、きみの手に触れさせて
「どーする?」
修吾の手が、一ノ瀬の首に食い込んでいく。
「クツ、舐めるか……?」
組み敷いた一ノ瀬の目を、修吾は真っ直ぐに見下ろした。
絶対にそらさないその目。
「……舐め……ます」
ついに一ノ瀬がかすれた声を出した。
それで勝負は決まり。
修吾はクツを舐めさせる気は元々ないらしく、代わりに条件を突きつけた。
「いーか、今後一切、西中の生徒に手出しすんなよ」
「は……い」
「お前らも文句あるなら、今言え」
修吾は立ち尽くす北中のやつらを見渡した。
やつらは、ただ目をそむけていくばかりで、誰も何も答えない。
「わかってんな? 後でゴチャゴチャ言ったら承知しねーぞ」
修吾はそう言い捨てると、ググッと腕に力を入れた。
え?
一ノ瀬の頭が、ガクッと地面に力尽きる。
「「い、一ノ瀬……っ」」
青くなった北中の連中が、やつに駆け寄って取りすがった。