今夜、きみの手に触れさせて


「どーする?」


修吾の手が、一ノ瀬の首に食い込んでいく。


「クツ、舐めるか……?」


組み敷いた一ノ瀬の目を、修吾は真っ直ぐに見下ろした。


絶対にそらさないその目。






「……舐め……ます」


ついに一ノ瀬がかすれた声を出した。


それで勝負は決まり。




修吾はクツを舐めさせる気は元々ないらしく、代わりに条件を突きつけた。


「いーか、今後一切、西中の生徒に手出しすんなよ」


「は……い」


「お前らも文句あるなら、今言え」


修吾は立ち尽くす北中のやつらを見渡した。


やつらは、ただ目をそむけていくばかりで、誰も何も答えない。




「わかってんな? 後でゴチャゴチャ言ったら承知しねーぞ」


修吾はそう言い捨てると、ググッと腕に力を入れた。


え?


一ノ瀬の頭が、ガクッと地面に力尽きる。




「「い、一ノ瀬……っ」」


青くなった北中の連中が、やつに駆け寄って取りすがった。


< 145 / 469 >

この作品をシェア

pagetop