今夜、きみの手に触れさせて
「あのなぁ、言っとくけど、オレが先に一ノ瀬に痛めつけられたんだからな」
カップうどんをすすりながら、ムスッと修吾が言った。
「アッハッハ……。だからその顔でふてくされんなって」
並んで同じのを食いながら、オレがそう笑うと、みんなもドッと沸いた。
「お前さー、さっきから笑い過ぎだ、純太」
修吾はジロッとオレをにらむ。
「ハハハ……怒んなよ。笑ってるけど、別にバカにしてるわけじゃないんだから」
「じゃー何だよ?」
ん~……
「ま、うれしいんじゃねーの?」
とオレは言った。
「なんだ、それ」
「修吾ちっともあきらめねーしさ。
そんな顔になっても、ギブアップさえしなけりゃ負けにはならないんだって、わかった」
「いや、勝ったから」
修吾はムキになって言う。