今夜、きみの手に触れさせて


「純太っていつもその揚げ残すよな?」


「ん?」


「キライだからくれたんだよな?」


ボソッと、修吾は言う。




「あはっ、バレた? だってスポンジっぽくね?」


「昔っから、そう言ってた。イヤならちがうの食えばいいのに」


「いんだよ。麺とスープが好きなの、これの」


オレがそう言ったら、


「アハハ、そうだったな」と修吾は笑った。


それから「イタタ」と顔をしかめる。




「でもまぁ、学校夏休みでよかったじゃん」


「だな」


オレらはふたり並んでスープを全部飲み干した。




「修吾」


そこへヤスがやって来て座る。


「お前その顔治るまで、律ちゃんに会わないほうがいいぜ?」


「えっ」


「真面目な子なんだろ? 怖い思いした上に、そんな恐ろしい顔見せたらフラれるぞ」


「いや、でもケータイ渡しに行かなきゃいけねーし」


修吾はあわてる。


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