今夜、きみの手に触れさせて
「まぶし……」
表へ出て歩き出すと、矢代くんは暮れなずむ空を見あげて目を細めた。
あとは無言のまま、ふたりで歩く。
さっき繋がった彼の手は、ゆるーく覆うようにわたしの手にかぶさったままだ。
だからドキドキして何も言えなくなるよ……。
そおっと隣を見あげると、矢代くんは澄ました顔をして前を向き歩いていた。
男子の中では小柄なほうなのに、真横を歩く矢代くんは、やっぱわたしよりもずいぶん背が高い。
どーしてあんなこと言ったの?
どーして連れ出してくれたの?
どーして手を繋いだままなの?
どーして何も言わないの?
声にならない質問が、心の中にあふれてくる。
「あ、カバン」
自分のカバンを矢代くんに持たせたままなことに気づき、やっと声が出た。