今夜、きみの手に触れさせて


ここって……。


ここには純太くん、道路とガードレールと自販機と……ラブホテルしかないよ?




「わ、わ、わたし、帰んなきゃ」


そんな言葉しか思いつかなかった。


「お母さん、待ってるの……。ホントはウソついて家を出てきたの。でないと、こんな遅い時間に出かけるなんてムリだし……。お、女の子の家ならそれが普通だと思う。お母さん、きっと心配してる。きっと怒られる」


言い訳するみたいにまくし立てながら、泣き出してしまいそうだった。


だって、わたしだけ子どもみたいだ。




純太くんの今までの彼女は、こんな時間でも平気だったの?

こうしてこんなふうに、ホテルとか行ったの?


ちゅ、中学生なのに?
それとも年上の人?


これが純太くんの常識なら、わたしにはついていけない。


純太くんとわたしでは
『つきあう』って意味が、違いすぎる。




ずっと知らんぷりしてたくせに、急に夜中に呼び出して、こんなところに連れてきて……。


わたし、純太くんの気持ちがわかんないよ。


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