今夜、きみの手に触れさせて
「そっか……。時間遅すぎんのな」
純太くんはそうつぶやくと、コーラの缶をガードレールの下に置いた。
「ゴメン、すぐ帰るから」
そう言った純太くんの腕がこっちに伸びてきて、わたしを抱き寄せようとする。
「か、帰る」
身をひるがえして帰ろうとしたけれど、彼の手に簡単につかまってしまった。
「ちょっとだけ、聞いて」
腕を突っ張って逃れようとしても、今日の純太くんは強い力で、わたしを腕の中に閉じ込めようとする。
「すぐ、済むから」
純太くんは力ずくで、わたしをギュッと抱きしめた。
その腕の中で、わたしはイヤイヤをする。
「なんでイヤがんの?」
「や……」
強引に唇を奪われた。
いつもよりも激しいキス。
舌が無理やり口の中に押し入ってくる。
そんなわたしたちを、自動車のライトが次々と照らしていった。
スポットライトを浴びているかのように、目を閉じていてもまぶたの奥が赤くなる。