今夜、きみの手に触れさせて
「ハ……」
かすれた息をつくと、純太くんは背中を向けて、来た道を歩き出した。
「か、帰るの?」
その背中に追いついて、並んで歩く。
「帰りたいんだろ?」
突き放すようにそう言われた。
気まずくて、何も答えらんなくなる。
怒らせちゃったんだよね?
さっきまで人目ばっか気にしてたくせに、今はもう、離れた手がさびしかった。
「何泣いてんの?」
あきれるように放たれる言葉。
自分で断っといて、涙がいつまでも止まらないから。
純太くん意味わかんないよね?
グシッと涙を拭いながら見あげると、柔らかな笑顔はどこにもなかった。
「じゅ、純太くんとわたしは、全然……ちがうね」
声が震えていた。