今夜、きみの手に触れさせて


あれからちょっとしか経っていないのに、今はこんなにも自信がない。


わたしの思うところに純太くんはいなくて、純太くんの思うところには、わたしはいない。


不安で、わかんないことだらけで、自己嫌悪でいっぱいで、苦しくて、悲しい。


想いだけがつのって、心の中を埋め尽くす。


わたしはきっと、純太くんをがっかりさせたんだ。




月のない晩。


ふたりはもう何も語らずに、ただ黙って並んで歩いていた。






「じゃー、孝也にすれば?」


別れ際に純太くんはそう言った。


「は?」


「藤沢孝也……。仲いーんだろ?」


何を言われてるのかわからない。






「じゃーな」




長い沈黙のあと、純太くんの唇がゆっくりと動き、


たぶん、この世の終わりを告げた。





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