【完】恋愛条件
次第に人だかりは河原の方へと向かっていった。
「もうじき花火が打ち上がるな」
『私達も行こ!』
今度は私が蓮の手を引いて歩き出した。
飲み込まれるように人混みの中に入っていく。
「朱祢っ」
『!?』
その時繋いでいた手が放れてしまった!!
慌てて蓮の所に行こうとするが辺りを見渡せば知らない人達。
完全にはぐれてしまった。
『兎に角、人混みから出なきゃっ』
必死に流れに逆らって出ようとするがなかなか抜け出せない。
もうじき花火が打ち上がる。
その前に蓮を見つけて二人で見たいのに…っ
―…
「クソッ!!」
完全に人の波に飲まれて朱祢とはぐれてしまった。
放された手が寂しさを感じさせる。
俺はなんとか人混みから抜け出し、朱祢の姿を探すが見当たらない。
「蓮?」
俺は人混みを追いかけて探そうとしたが、声を掛けられて足が止まってしまった。
朱祢の声では無い人物を見て、俺は目を丸くして驚いた。
「おま…え、仲辺(ナカベ)…?」
「えへへ、久しぶり」
彼女は笑顔を俺に向けて小さく手を振った。