【完】恋愛条件


懐かしいような光景を夢でみた。



『にゃーんこ』

゛にゃー゛


私が黒と白色の猫を抱き上げて笑ってる。



゛にゃ゛

『にゃんこ!待って!!』


手からスルリと身軽に地面に落ちたにゃんこ。
どこかへと向かうにゃんこの後を必死に追うと…



゛にゃーん゛


追いつくと、ゴロゴロと頭を目の前の人の足に擦り付けていた。



『にゃんこ!』


私がにゃんこに向かって叫ぶとその人は口をゆっくりと開けた。



「―…」


何を言ってるのか聞こえない。

何で思い出せないの。


わからない。

わからないよ…






━…



手に違和感を感じて目を開けて自分の手に視線を落とす。



『…れ…ん』


誰かに握られた手、椅子に座って頭をベッド乗っけて寝ている黒の猫っ毛。

顔を見なくってもわかる。

蓮の温もりがちゃんて手を通って伝わってるから。


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