モテるんは俺の趣味やっ!
たっちゃんはぶどうジュースをちゅう、と吸ってから、くくっと笑いを洩らした。




怪訝に思って顔を上げると、夜闇に浮かび上がる蛍光灯の明かりの中で、たっちゃんの楽しそうな横顔が青っぽく輝いていた。





たっちゃんはにこにこしたまま、「ほな、お詫びに教えてしんぜよう」と偉そうに言う。







「――――俺はなぁ、彼女て、ほしい思うたことがないねん」







あたしは驚いて目を見張る。







「へぇ? ほんまに? 意外すぎるけど」







だって、たっちゃんは、モテるためには努力を惜しまない男だ。




そして普通に考えれば、『モテたい=彼女が欲しい』、という方程式が成り立つと思うんだけど。





それなのに、モテたいけど彼女は欲しくないと、たっちゃんは言うのだ。





わけ分からんやないかい。






しかしたっちゃんはあっけらかんと、こう答えた。






「だってなぁ、考えてもみぃな。



俺みたいに、他に類を見ないほどモテる男が彼氏やってみ?


その女の子は毎日毎時間、嫉妬に悩まされることになるやろ?


そんなん、かわいそすぎるやん。



俺はな、女の子に、そない切ない思い、させたないねん」








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