憂鬱なソネット
今度はあたしの番だ。




「汝は、この男を夫とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、

夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」




「はい、誓います………」




式は淡々と粛々と、順調に進んでいく。



寅吉がいないままに。




「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を、神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。

宇宙万物の造り主である父よ………」




神父さんの言葉をぼんやりと聞きながら、薄く伏せたあたしの目に浮かぶのは。




「………今日結婚の誓いをかわした二人の上に………」





ーーー寅吉。


なんでいないのよ。



なんで、今ここにいないのよ?




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