憂鬱なソネット
はぁはぁと息を切らしながら寅吉を睨めつけていると、寅吉が急に、苦しげに顔を歪めた。




「…………ごめん、あやめさん。

そんな思い、させてたなんて………」




「ものすごーくしてたわよ」




嫌味ったらしく返すと、寅吉は「ほんとにごめん」と呟いた。




「俺、いつも言葉が足りなくて。

しかも頭も悪くて………」




「…………ん?」




寅吉がまたズレたことを言い出した。



今、頭の悪さとかって関係ないよね?




「………なに言ってんの? 寅吉」



「あの書き置きは、『旅に出るだけだから心配しないで待ってて』って意味だったんだ」



「………え、そうなの?」



「うん。ちゃんと書かなくてごめん」



「ほんとにね………」




あたしは呆れて物も言えないので、とりあえず溜め息を吐き出した。



まったくもう………この二週間のあたしの苦悩を何とかして!!





< 109 / 131 >

この作品をシェア

pagetop