憂鬱なソネット
そして、握り締めた右手をあたしのほうに差し出した。




「あやめさん、これ、受け取って」



「へ………」




わけも分からないまま、あたしは反射的に言われた通りに手を差し出した。



その手の平に、ころんころん、と転がり落ちたものは。




「ーーーなにこれ?」




それは、割れて砕けたガラスの破片。


に見える。




「アフリカで採ってきたんだ」



「え………これを?」



「うん。10日間掘り続けて、やっと出てきたんだ」



「え………これが?」




ーーー寅吉って、変だ変だとは思ってたけど。


こんなガラスの破片を掘りに、わざわざアフリカまで行ってたわけ?



よく分からないけど、せっかくの贈り物ということで、

あたしはとりあえず「ありがとう、寅吉」とお礼を言った。




< 112 / 131 >

この作品をシェア

pagetop