憂鬱なソネット
ガラスの破片、しかも一欠片のみ。



謎だ………と心の中で首を傾げていると。




「え、それ、もしかして………」




横から顔を覗かせた巧が、驚いたような声を上げた。




「まさか、ダイヤモンドの原石ですか!?」




巧の言葉にあたしは目を丸くする。



何を言い出したんだろう、この弟は?


ダイヤモンドの原石?


このガラスの破片にしか見えない曇った石が?



いやぁ、ないない。


と思った矢先。




「うん、そうだよ」




寅吉が当たり前のように頷く。


あたしは耳を疑った。




「え………なに、ダイヤモンド!?」




ひっくり返りそうなほどに驚くあたしに向かって、寅吉はやっぱり平然とした様子で、「うん、そうだよ」と繰り返した。




< 113 / 131 >

この作品をシェア

pagetop