憂鬱なソネット
「ごめんね、あやめさん」




おばさま達の波をかきわけて、寅吉が近づいてくる。




「時差があること、すっかり忘れてて。

結婚式に間に合うように帰って来たつもりだったんだけど………日本に着いたらもうすっかり朝で、焦ったよ」




話のスケールが大き過ぎて、怒る気も失せてしまう。



なんて壮大な遅刻………アフリカから結婚式場に直行だなんて。


さすが寅吉だ。




「その石は、ちゃんとお店とかに頼んだら宝石にしてくれるんだって。

だから、それで指輪、作ろう」




「えっ」




予想外の言葉に、あたしの声は裏返ってしまった。





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