憂鬱なソネット
「おい、寅吉」




突如声を上げたのは、寅吉のお父さんだった。




「父さん………今日はすみませんでした」



「全くだ! 父さんたちは、藤沢家の皆さんに顔向けできない思いだったぞ。あやめさんにも迷惑ばかりかけて………」



「はい。すみませんでした」



「これからは所帯をもつんだから、しっかりしなさい」



「はい」




寅吉のお父さんは、気合を入れるように寅吉の背中を叩いた。


寅吉のお母さんも同意するように頷いている。




次に口を開いたのは、あたしのお父さんだった。




「えー………寅吉くん」



「はい」



「まずは、うちの娘をもらってくれて、ありがとう」



「いえ、あの、こちらこそ、ありがとうございます」




頭を下げた寅吉を見つめ、お父さんはこほん、と咳払いをする。




「ただね、一つだけ、言わせてもらっていいかな」




寅吉が「はい」と答えて、ぴしっと背筋を伸ばした。



いつもの猫背はどこへやら。




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