憂鬱なソネット
「なんでも、初めに新郎役をしていたのは、新婦さんの弟さんだったとか」



「はい………すみません」



「神の前で愛を誓ってしまったのはいけませんでしたが、まぁ、真の新郎が間に合ったので、よしとしましょう」



「はい、本当にすみませんでした………」




寅吉がまたもや土下座をしそうだったので、とりあえず止めた。




「楽しく朗らかなご家庭が築けそうですね。末長くお幸せに」



「ありがとうございます」




神父さんが出て行くと、入れ違いのように両家の家族が入ってきた。



みんな、疲弊し切った顔をしている。


まぁ、あたしも同じだろうけど。



寅吉だけは違う理由で疲弊しているのが笑える。




「お父さん、お母さん、巧。

今日はありがとうね。

いろいろ心配かけたり迷惑かけたり、ごめんなさい」



「本当だよ! 俺、ぜってー寿命が10年くらい縮まったと思う」




巧が言うと、寅吉が「ごめんね、巧くん」と声を上げた。




< 126 / 131 >

この作品をシェア

pagetop