憂鬱なソネット
「不束な娘だが………あやめを泣かせたり、不安がらせるようなことだけは、しないであげてくれ」




お父さんは真剣な声音で言った。



………なによ、お父さんたら。


いつもへらへらしてるくせに。



ちょっと泣きそうになっちゃったじゃない。




寅吉はこくりと頷き、


「はい、誓います」


と答えた。




「もう二度とあやめさんに不安な思いはさせません。

絶対に、泣かせたりしません。

なので、あやめさんと結婚させてください」




寅吉の言葉に一同、ぽかんとする。




「………いやいや、もう結婚したから」



「あっ。そっか」




明るい笑い声が控え室にこだました。



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