憂鬱なソネット
「もう、ほんと、信じらんない!!
初対面の相手との待ち合わせにさあ、一言も連絡なく遅れてくるとか、さいってー!!
こんなアホみたいに豪華なホテルで!!
てろってろのワンピースなんか着せられて!!
ハイヒールなんか履かされてさ!!
あたしがどんな気分で一人ここで待ってたか分かる!?」
あたしが一気にまくしたてると、寅吉はしばらくぼうっとした表情であたしの顔を見つめていた。
ごめんくらい言えよ!と声をあげそうになったとき、寅吉はいきなり、がばっと立ちあがった。
あたしは驚いて寅吉を見上げる。
寅吉のこんな機敏な動作は、初めてだった。
いったい、なにごと??
もしかして、隠していたあたしの本性が分かって、なんて女だって呆れて、もう帰ろうってこと??
そんなことを考えていると、寅吉はさらに驚きの行動に出た。
「――――えっ、えぇっ!?
ちょ、ちょっと、寅吉、さん!!??」
寅吉が、唐突に、両膝をついたのだ。
つやっつやに磨かれた大理石の床に、柔道着の膝を。
しかも、それだけでは飽き足らず、両掌までついた。
そのまま、床につきそうな勢いで、がばりと頭を下げる。
そう、いわゆる、「土下座」、である。
「ちょっと、こんなとこで、いきなり何すんのよ!!」
初対面の相手との待ち合わせにさあ、一言も連絡なく遅れてくるとか、さいってー!!
こんなアホみたいに豪華なホテルで!!
てろってろのワンピースなんか着せられて!!
ハイヒールなんか履かされてさ!!
あたしがどんな気分で一人ここで待ってたか分かる!?」
あたしが一気にまくしたてると、寅吉はしばらくぼうっとした表情であたしの顔を見つめていた。
ごめんくらい言えよ!と声をあげそうになったとき、寅吉はいきなり、がばっと立ちあがった。
あたしは驚いて寅吉を見上げる。
寅吉のこんな機敏な動作は、初めてだった。
いったい、なにごと??
もしかして、隠していたあたしの本性が分かって、なんて女だって呆れて、もう帰ろうってこと??
そんなことを考えていると、寅吉はさらに驚きの行動に出た。
「――――えっ、えぇっ!?
ちょ、ちょっと、寅吉、さん!!??」
寅吉が、唐突に、両膝をついたのだ。
つやっつやに磨かれた大理石の床に、柔道着の膝を。
しかも、それだけでは飽き足らず、両掌までついた。
そのまま、床につきそうな勢いで、がばりと頭を下げる。
そう、いわゆる、「土下座」、である。
「ちょっと、こんなとこで、いきなり何すんのよ!!」