憂鬱なソネット
「なんで、クリスマスに、カーネーションなのよ!?」





「え……っ、違った?」





「クリスマスは普通バラでしょ!」






ほんと、知ってたけど、ズレたやつ。




あたしは花束を受け取り、涙を拭いながら言った。







「あ……そうだっけ。
なんかカーネーションのイメージが………」





「それは母の日!!」





「あっ、そっか!」






寅吉が「納得!」という表情で、ぽんと手を打った。






まったく、寅吉は、飽きない。




未知との遭遇ばかりさせてくれる。






あたしがまだ笑いを抑えきれずにいると、寅吉は照れくさそうに、でも嬉しそうに笑っていた。






「あやめさんの笑顔みると、なんか俺、すごく幸せな気持ちになるな……」






「………またそんな殺し文句を……」







寅吉は、ほんとに素直で正直だ。




こんな男には会ったことがない、といつも思う。





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