憂鬱なソネット
その言葉に、あたしは嬉しくなる。





寅吉は、あたしのために、うちの親に会って結婚を申し込むために、初めてスーツを買ってくれたんだ。





あたしと一緒にいるために。





やっぱり、寅吉は………最高だ。







「…………プロポーズ、ありがと。


引っ越しの準備、しなきゃね」






「うん!」







寅吉は太陽のように笑った。





………引っ越しって、どこに引っ越すんだろう。




寅吉の部屋?




二人で住めるようなとこなの?







冷静に考えると、疑問はふつふつと湧いてきたけど。






まぁ、いっか。





なんとかなるよね。





寅吉とならーーー







あたしは晴れやかな気持ちで、駅に向かおうとする寅吉の肩をがしっとつかんだ。






「え、あやめさん?」






「気が変わった!


やっぱり、飲みに行くよ!」






「えぇっ」






「今日は徹夜で飲み明かすぞ~!」







あたしは寅吉と肩を組み、クリスマスの街へと繰り出した。





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