憂鬱なソネット
「あぁ、おはよ、お母さん……」




すぐに、お父さんと弟の巧も顔を出した。




「遅かったな、あやめ」



「そうよ、寝坊したんじゃないかって心配したんだから!」



「ごめんごめん、のんびり歩いてたら時間かかっちゃった」




作り笑いを浮かべつつ、あたしは家族のもとへと近づいていく。



すると、巧があたしの顔を覗き込むように身を屈めてきた。




「んー? 姉ちゃん、なんかさぁ、顔色暗くね?」



「えっ? そ、そう? すっぴんだからじゃない?」



「そうかなー、なんかいつになくどんよりしてる気が………」




そこまで言って、巧は「あっ」と眉を上げた。




「もしかして、あれ?

マリッジブルーってやつ?」




巧がからかうように笑う。



あたしは「そんなんじゃないって」と巧の横腹を殴るふりをした。




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