憂鬱なソネット




「…………」



「…………」



「…………」



「…………」




時間ばかりが刻々と過ぎ去っていく。



初めはあたしのウェディングドレス姿に和気あいあいで盛り上がっていた我が家族も、さすがに不審感を抱いている模様。



だんだんと会話が少なくなっていき、今となっては気まずい沈黙が流れるだけ。




ーーー式の開始予定時刻まで、あと30分弱。



さすがにもう限界か、と思って、あたしは正直に事情を話そうと、お父さんたちのほうに目を向けた。




ちょうどその時、


あたしたち家族がいる控え室のドアをノックする音が響いた。




お母さんがぱっと顔を上げ、「はい、どうぞ」と答える。



ゆっくりとドアが開き、壮年の夫婦が顔を覗かせた。



寅吉のお父さんとお母さんだ。




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