この思いを迷宮に捧ぐ
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「こんな時間まで、何をなさってたんです?」


宮殿の前で大臣たちに問い詰められて、千砂は答えに詰まる。

「何があったのですか」

自分を待ち構えていた顔ぶれに、不測の事態が生じたことを察知しながら。


「火の国から武装集団が侵入しました。もう2時間も前にね」


まるで神が私を試しているようだ、と千砂は思う。いや、罰しているのかもしれない。

重責を負う立場にいながら、恋にうつつを抜かし、ただでさえ不向きな国務に励む努力を怠ったと。


「集団の規模、現在位置。把握でき次第、直ちに周辺町村への避難指示を」

千砂は、亡き父を思い浮かべる。

父ならどうするだろうか。


「...火の国の大統領に、使いを」

年始めの顔合わせで、今一つ、人物像が掴みきれなかった男。

おそらく父なら、あの場で上手く関係を構築しただろう。ひょっとしたら事前に、注意を要する武装集団の情報を得られたかもしれない。

そこまで考えると、千砂は急いで思考を停止する。

今は、私なりの対処を考えるしかない。
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