この思いを迷宮に捧ぐ
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「おはようございます」

いつもの時刻になり、千砂の部屋にやって来た坡瑠は、予想以上に千砂がショックを受けていることに気が付いた。

目が赤く腫れている。



「おはよう」

痛々しさに、坡留は思わず視線をそらしてしまう。

「お体の具合がすぐれないようですね。一日お休みになられては」

「いいえ。すぐに見合いの手配を」

何でもない仕事の一つのように告げられて、坡留はまじまじと千砂の顔を見つめることになる。

「……は?」

「各大臣を招集して、私の見合い相手を選考するように伝えて。私は決定に従うから、参加しない」

「では…」

千砂は、坡留が口に出すべきかどうか迷っている人物の名を言ってほしくなくて、続ける。


「私は、その間に楽屋に行ってきます。大臣の目がないうちに、この前の裏口から帰ってくるから」



そう告げて、千砂は坡留の返事を待たずに部屋を出た。


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