この思いを迷宮に捧ぐ
晁登を守るには、この方法しか残されていない。




千砂は、枯れたはずの涙がこみ上げて来ないように祈りながら、本当に「仮面」をつけるつもりで自分の表情を繕う。

何でもない冷静な顔で、会えますように。


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前回突然現れたせいもあって、晁登は楽屋前に千砂が立っていても、それほど驚かなかった。

「朝は初めてだね?おはよう」


そう言って迎え入れてくれた晁登は、髪にふわりとした寝癖らしい一束が見られて、千砂は動かされるまいと言い聞かせていた心がゆらりと揺れそうになる。



ドアが背後で閉まるなり、千砂は切り出した。




「晁登、別れましょう」




我ながら、冷たく感情のない声が出せたと思う。

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