この思いを迷宮に捧ぐ
土の国の王族に、そういう能力がある者もいると、聞いたことはあったが、ずいぶん昔のことだと言われていたのだ。

公にしていないだけで、千砂がその能力を受け継いでいる可能性はゼロではない。なにより、あの混迷を極める国で、こうして生き延びているのが証拠のように、翠には考えられた。


「…なんで今泣くんだ?」

千砂の呪文以上に、翠は驚愕する羽目になる。

自分の体の下で、千砂が体を震わせて泣いていたからだった。


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