この思いを迷宮に捧ぐ
「私の素案が厳しすぎると、殿下にたしなめられました」

議場がどよめいて、視線が翠に集中するが、翠は頬杖をついたまま、首をかしげて見せるだけだ。

「いやいやいや、俺はあんなきっつい法律息苦しいと思っただけで。ヘーカは鵜呑みにしないでクソ真面目に調査してたでしょうが」

翠の緊張感のない発言に、くすくすと笑いが起こる。


その後も、水の国から水を引くための水路建設が順調であること、今のところ気まぐれに降る雨や、翠の見つけた井戸で飲料水は確保できていること、火の国の国境にも問題は起きていないことが報告される。

議場は生きていると思うことがあるけれど、今日は穏やかだった。

千砂は思う。

やはり問題が少ないときには、参加する大臣たちの表情や声色は決して堅くない。
今残っているメンバーは、場にそぐわない雰囲気を出している者はいない気がする。
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