この思いを迷宮に捧ぐ
だからこそ、千砂も譲歩する気になるのだけれど。


「たまには、自分が何をしたいのか、自分のために何をして欲しいのか、考えるといいわ」

ベッドサイドに腰を下ろして、千砂は翠の目を見る。


そこには何の色もなくて、よく言えば透明だけど、何も入っていないみたい。


「あっ」

ぐいと手を引かれて、千砂はベッドに肘をついた。


「何?そんなに俺のこと気にしてくれるの?」

さっきまでのきれいな表情があっという間にいたずらなものにすり替わっている。

息がかかるほど顔が近くて、思わず千砂は仰け反った。
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