この思いを迷宮に捧ぐ
「あれが欲しいとか、これが食べたいとか、ここが不満だとか、一切言わないじゃない」

国が財政難だから遠慮しているという可能性も、千砂は初めのうちは考えた。

そもそも翠は遠慮するような性格でもない。かといって、多少の希望が叶えられないほどの財政難でもない。


「別にそう言うのないわ」

翠があっさりそう答えるからこそ、少し心配になる。

「あなたは、感じたとおり言いたいことを言うのに、あまり自分の意思を持ってないみたい」

「は?そんなこと言われたことないな。むしろわがままってよく言われるけど」

「・・・そうかしら」

言動に遠慮がないだけに、わがままに見えるけれど、指摘がキツいだけで、自分のために物事を運ぼうとする様子は一切ない。
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