この思いを迷宮に捧ぐ


「あったかい」

呟きながら、千砂が一層の暖かみを探すようにして、翠の首筋にふと頬を寄せた。
ひたとくっつくと、わずかに呼吸を肌で感じた翠は身を固くする。


「...夜這いに来たのに」

ぽつりと呟くと、千砂は「嘘」と、よくわからない答えを返しただけだった。

「何が嘘だって?」

翠がそう問えば。「翠は、私なんか好きにならない」

千砂の唇が微かに動くのを、皮膚に感じて、翠はこくんと息を飲む。
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