この思いを迷宮に捧ぐ
「俺と結婚しても、メリットが少ないか?」
「...いいえ」
千砂は、翠と結婚する前と後の環境を比べてみる。
「結婚の話を断り続けるのは、国内外問わず大変だったし、私にパートナーがいることで、しつこかった黄生を国王に推す声を封じ込めることもできたわ」
「なら、利害は一致してるな」
翠が千砂を胸に抱き寄せると、早足でこちらに向かっていた審議官たちがぴたりと立ち止まるのが見えた。
「あんたも協力してよ。俺の首に腕を回して」
こくりと頷いて、千砂が言われた通りにすると、翠は彼女の頬にかすかに触れる程度のキスをした。