この思いを迷宮に捧ぐ
「陛下。支度が整いました」
ふと顔を上げると、坡留が自分を迎えに来ていた。
「…そんなに心配しなくても」
千砂は、自衛の武器の他、医療器具まで抱えているらしい坡留に、ちょっと呆れた。
「先日のことはお忘れではないでしょう?万が一、あなたに何かあったら、この国は…」
「わかりました。行きましょう」
言い募ろうとする坡留の言葉を遮って、千砂は自室の奥の扉を開く。
地下へと続く螺旋階段を、秘密の抜け道だとワクワクした子供の頃が嘘のように、今ではその闇が不吉に見える。
この先に、宮殿内で、王族だけが知っている採掘場があるのだ。
一族の持つ特殊な能力は、まだ知られていない。
知られることで、国も王族も狙われる可能性が高いからだ。
「おわかりですね、くれぐれも無理をなさらぬように。諸国から賓客が訪れるとは言っても、3カ国なのですから、あまり多くは」
「わかっています。静かにして。集中しないと見つけられない」
坡留に心配をされるのが、苦手だ。千砂は、そう感じる。
嫌だとか、鬱陶しいとか、そういう表現よりは、「苦手」というのがぴったりだと感じる。
ふと顔を上げると、坡留が自分を迎えに来ていた。
「…そんなに心配しなくても」
千砂は、自衛の武器の他、医療器具まで抱えているらしい坡留に、ちょっと呆れた。
「先日のことはお忘れではないでしょう?万が一、あなたに何かあったら、この国は…」
「わかりました。行きましょう」
言い募ろうとする坡留の言葉を遮って、千砂は自室の奥の扉を開く。
地下へと続く螺旋階段を、秘密の抜け道だとワクワクした子供の頃が嘘のように、今ではその闇が不吉に見える。
この先に、宮殿内で、王族だけが知っている採掘場があるのだ。
一族の持つ特殊な能力は、まだ知られていない。
知られることで、国も王族も狙われる可能性が高いからだ。
「おわかりですね、くれぐれも無理をなさらぬように。諸国から賓客が訪れるとは言っても、3カ国なのですから、あまり多くは」
「わかっています。静かにして。集中しないと見つけられない」
坡留に心配をされるのが、苦手だ。千砂は、そう感じる。
嫌だとか、鬱陶しいとか、そういう表現よりは、「苦手」というのがぴったりだと感じる。