この思いを迷宮に捧ぐ

初めて会った時、朱理の髪が驚くほど短かったことを思い出す。

彼女の能力や育ち方を思えば、何か特別に理由があったことだろうとは思うが、それはもうどうでもよくて、ただ羨ましくなってきた。


私も、あんなふうに髪を切ってみたかった。

長い髪は重たくて、色んなところに挟まれて、手入れが面倒で、まるで何かに縛られているようだったから。


暗い土の底で、ざくりざくりと、奇妙な音だけが響く。

これまで感じたことのないような高揚感の中で、千砂はひたすら自分の髪を切り続けた

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