この思いを迷宮に捧ぐ
彼が背負ったもののの重さが、今ならわかる。
それでも、近頃の水の国が穏やかなのは、かつては姉の美砂が青英を愛したから、そして今は青英と朱理がお互いを想い合っているからなのかもしれない。
美砂の産んだ子を我が子のように愛する朱理に、そしてその朱理を想う青英に、千砂は目が覚めた。
再び転んで泣き出した王子に、今度は青英までが駆け寄って、千砂は思わず笑い出していた。
まるで王子自身が、水の国そのものみたいだ。
夫婦で慈しんで育てるなら、きっとかの国に涌く水のごとく、澄んで穏やかな国になるに違いない。