この思いを迷宮に捧ぐ
冷たくて強引で、こんな人と一緒になったって幸せになれないと、姉に言ったくらいの男だった。一笑に付して嫁いだ姉が、なぜか幸せそうに結婚生活を送っていたから、いくらかは信頼できたのだけれど。
それでも、時折目にする機会に、義兄自身は、自分が幸せそうな顔など、見せたことはなかった。
そう思って、千砂は気がついた。
今の自分どころではなく、生まれた時から後継ぎに決まっていた青英は、ずっと自分自身の幸せなど二の次であったこと。
水の国の国王には、公式の側室はいない。正妃が一人だけだ。
そして二人の間の子どもは青英一人きり。