この思いを迷宮に捧ぐ

冷たくて強引で、こんな人と一緒になったって幸せになれないと、姉に言ったくらいの男だった。一笑に付して嫁いだ姉が、なぜか幸せそうに結婚生活を送っていたから、いくらかは信頼できたのだけれど。


それでも、時折目にする機会に、義兄自身は、自分が幸せそうな顔など、見せたことはなかった。

そう思って、千砂は気がついた。

今の自分どころではなく、生まれた時から後継ぎに決まっていた青英は、ずっと自分自身の幸せなど二の次であったこと。

水の国の国王には、公式の側室はいない。正妃が一人だけだ。
そして二人の間の子どもは青英一人きり。

< 353 / 457 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop