この思いを迷宮に捧ぐ

「あんた、いつも他の人間のために怒るね。疲れない?」

使者が飛んで逃げ帰った後、翠がくすっと笑って言うから、千砂はむっとする。

「疲れないわ。まだ腹が立って仕方がないもの。あなたこそ、怒りそうなのに、怒ってもいい立場なのに、どうしてそんなに落ち着いていられるの?」

翠の母への思いはかなりのものだ。

その母親の悪口を放置するのも意外だった。

「国内での評判はあんなもんだよ。王妃が死ぬか城を追われる事態になるまではキリがない。もう言わせておけばいい。俺と親父がわかってれば、母は大丈夫」

彼ら3人の間には、深い理解があるのだ。
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