この思いを迷宮に捧ぐ

「さっと謝ればいいでしょ。ほら、その一言で帰国できるんだし言っときなよ」

ぱくぱく口を開くだけの使者は、さらに当事者に近い翠まで現れて、いっそう動転している。

バシッと彼らの背中を叩き、翠は笑いを堪えながら繰り返す。

「『ごめんなさい。もうしません』だろ」
「ご、ごめんなさい。もうしません」

ようやく震え声で二人が追従する。子供か。

「ヘーカ、これでいい?帰らせるよ」

翠があまりにいつもと変わらない調子だから、千砂はかえって腹が立って頷くこともできない。

< 379 / 457 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop