この思いを迷宮に捧ぐ
予想外の収穫に、翠は言葉を失った。
「って、言おうとしてた。それに、聞きたいこともあるの」
ゆらりと長いまつげを持ち上げて、千砂が翠を見る。
「どうしてそんなに大事そうにキスするの?」
何を言いたいのかよくわからず、翠はフリーズしたままだ。
「はじめは、姉の身代わりなんだと思ってたけど、あなたは否定したでしょう?だから、次は契約を律儀に守ってるんだと思ってた」
契約。
千砂は縁談を退けて国政を安定させるため。翠は、母親を安心させるため。