この思いを迷宮に捧ぐ
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「…恩赦!?」

議場が静まり返るのが、千砂にもよくわかった。

「ええ、彼を解放しましょう」

大きくはないが、凛とした千砂の声が響いて、にわかにその場は混乱に陥った。

「陛下!」

案の定、いつも突っかかってくる産業大臣が声を荒げた。

「お言葉ですが、国の大臣に重傷を負わせた男ですぞ!厳罰に処するならまだしも、恩赦など、到底納得できませぬ!!」

そうだそうだとざわめきが広がる様も、いつものように千砂の心にひそかな怯えを呼び起こすことはない。それは、初めて千砂の怒りを煽ってゆく。


「第147条」


厳かに告げる千砂の声音に、異変を感じたのか、議場がぴたりと静まった。

「我が国にとって、甚大な利益をもたらす人物に限り、国王の恩赦による刑の軽減を認める」

静寂に包まれた議場で、議員や大臣は、私の出方を見守っているだけだ。今後の身の振り方を決めるために。
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