この思いを迷宮に捧ぐ
「何もしなくていい。ただここにいて」


晁登の声が耳元で聞えたと思ったら、すっぽり腕の中に抱かれていた。


「女神が俺を好きだなんて、奇跡だな」

くすくす笑う晁登に、千砂は恥ずかしい気持ちが増すばかりだ。

「女神じゃない。仮面のクイーンって呼ばれてるらしいけど」

「知ってたんだ?」

「…本当なのね」


滅多に会えない、それも短い時間しか。その恋人の腕の中なのに、どうしてこんな話になるのだろうと、千砂までおかしくなってくる。


「君の仮面は、恥ずかしがりやで気が優しくて臆病な、君のほんの一部分を隠しているだけだろ」

「そ、んな部分なんてない」

「はいはい」

ぎゅうっと締め付けるように抱き締められて、千砂はくらっとする。
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