秘密実験【完全版】



「……俺が怖いか?」


 静かな口調で問いかける彼は、とても大きく見えた。


 人間に成りすました悪魔が存在するなら、こんな姿形かもしれない。


 杏奈は何も答えられず、膝にかけた毛布を両手で掴んだ。


 ……怖いわよ。


 だから、何だって言うの?


 張り詰めた空気の中、対峙する二人はまさに、肉食獣と獲物の構図そのままだった。



「っ……!」


 スッと手が伸ばされ、反射的に身をすくめる杏奈。


 その反応に対して、芹沢は少し怒ったような表情を見せた。



「触られたくないってか。……貴様に、拒否権など」


 小さく吐き捨てるように言うと、彼はポケットからナイフを取り出した。


 杏奈を押さえ込み、ナイフを喉に突きつける。



「あたしを……殺すの?」


 間近で見る芹沢真の顔は、息を飲むほど美しかった。


 髪を伸ばしているのは、容貌に自信がないからだと思い込んでいた。


 ナイフをあてがったまま、芹沢が口元を歪めるようにして笑う。



「殺されるよりも苦しいことだ……。動いたら、その顔に消えない傷がつく」


「ッ……!」


 杏奈は絶句して、身体を強ばらせた。


 口先だけではないことを知っている。


 男の言う通りにしなければ、命を落とすこと以上の苦しみを味わわされるだろう。



「大丈夫だ。すぐに終わらせてやる」


 突然、芹沢真が下半身に穿いていたものを脱ぎ捨てた。


 突拍子もない行動に、杏奈は凍りつく。


 まさか……。



「嫌……、いやぁっ!!」


「黙れ。口裂け女になりたいのか?」


「うっ……く……!」


 杏奈は両手で口を押さえた。


 荒々しい手つきでワンピースを捲られ、下着が下ろされる。


 愛撫も何もなしに、芹沢は杏奈を一気に貫いた。



「いッ……、あぁあああっ……!」


 下半身が切り裂かれるような痛みに、杏奈は苦悶の表情で悲鳴を上げた。


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