リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜



車内では、特にこれといった会話はなかった。


いつから寝ていたかとか、酔ってからんでしまったこともちゃんと謝りたかったけど。

シーンとした空間に運転手さんがいたこともあって、なかなか自分から話を切り出すことが出来なかった。


部長も部長で窓の向こうに目を向けたまま、何か話してくるような雰囲気もなかったし、ほとんど最後まで車内は静かな空気に包まれていた。


そしてそんな空気のまま、タクシーは自宅付近へと近付いていく。



「あ、すいません、次の交差点を右に曲がってもらえますか?」


運転手さんのはい、という声を聞いた私は、カバンの中からゴソゴソと財布を取り出す。


メーターをチラッと見ると、もうすぐ三千円になるくらいだったから、それを確認した私は財布からそっと千円札を3枚抜いた。


「バカかおまえは」


だけどその直後、隣からそんな声が聞こえて。

ビクッとしながら部長に目を向けると、私が手にしていた財布と千円札たちをさっと奪われ、お金は財布の中にあっという間になおされてしまった。



「で、でも…」

「俺が送っていくって言っただろ」

「いや、でも」

「でもじゃねえよ。はい、だろ?」

「えっ?」

「おまえは俺のイエスマンじゃなかった?」



部長はそう言いながら、不機嫌にそうにこちらを見ている。


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