雨のち晴れ


「で、紗子先輩と森岡さん!もー、何なんです?家とか行かれてるんですよね、もうそういう関係なんですか?」

「いや、まさか。何にもないよ。」

「そんなぁ、もったいぶらずに教えてくださいよ〜!」

絵里はサンドイッチを食べながら聞く。

「それ、自分で作ってるの?」

「あー、もう紗子先輩、話し逸らした〜!」

「だって美味しそうなんだもん。」

絵里が食べているのはレタスたっぷりのハムとチーズのサンドイッチ。
食パンもふわふわそうで、本当に美味しそう。

「え、絵里、まさか褒められてる??」

「いや、褒めてるっていうか…」

「これ絵里特製のサンドイッチです!彼氏さんも気に入ってくれてるんですよ~!絵里、パン焼くことが好きで、この食パンも絵里が焼いているんです!」

「へー、すご。」

「でしょう~……って!そんなことはどうでもいいんです~!」

「自分で言ったんじゃん…」

私はあたふたする絵里を見て、クスッと笑った。

そう言えば、絵里とこんな風にバイト先以外で話すことって初めてだ。
なんだか少し不思議な気分だった。

「絵里ってその先生彼氏と暮らしてるの?」

「んー、半同棲ですかね。まぁほとんど一緒ですねっ!」

「…家のこととか食事とか、どうしてるの?」

「家賃は彼持ちです、まぁ社会人だし一応彼の家なので。夜ご飯は作ったり作らなかったりですね~朝とお弁当は絵里が作ってます。」

「ふーん」

「家事は分担してます。…って先輩、どうしてそんなこと急に?」

「へっ?!」

「先輩がそんな人のプライベートに興味持つなんてなぁって思って。」

「いや、別に特に深い意味は…」

頭の中には、正樹が言った、一緒に暮らさないか?という言葉。

もう、なんでこんな時に頭に浮かんでくるのよ。



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