仲良し8人組
「うわぁー。本当、いつ来ても人がいないね」
がらんとしたホームと駅内を見渡したひなから本音が漏れる。
その本音に亮介は苦笑いだ。
「そこが良い所だろ」
「亮介は昔っからこの町が好きだもんね」
少し馬鹿にしたような口調で言うと、
「ひなだって好きな癖に」
そう言って唇を尖らせている亮介からはあどけなさが垣間見える。
それに、「うん。好き!」とハッキリ答える所がひならしい。
ひなだってこの町が好きなのだ。
仲良し8人組で何度も遊んだこの町が。
にこにこと笑っているひなを横目で愛しそうに見つめる亮介に、ひなは気付いていない。
だからこそ駅を出た所で、
「この町が好きの主語の部分は変わらねぇの?」
という亮介の意味深な言葉に、「何で主語の部分が変わるの?」と真顔で聞き返す始末だ。
「べっつにー」
へらへらと笑って何事も無かった様に歩を進める亮介は、きっとこう聞き返される事も分かっていたのだろう。
ひなと亮介が並んで少し歩いた時、後ろから聞き慣れた甲高い声が響いた。
「あれっ!亮介君だぁ!」
「ん?」
名前を呼ばれた亮介が後ろを振り返ると共に、ひなも後ろへと顔を向ける。
ふわふわのピンクのフレアスカートを揺らして駆け寄って来る彼女にひなが声をあげた。
「あっ、夢!」
3年経っているのに、記憶の中の夢と全く変わらないその姿。