仲良し8人組
亮介の後ろ姿が見えなくなると、ひなはサトシの住んでいる河川敷へと歩き始めた。
戻ってきて行きたかった所はサトシの所だ。
サトシに協力者が見付かった事を言いに行こうと思っていたのだ。
一人でいる時間が少しでも減るようにと、少しばかり早足で歩いていたその時、ズキンッ!とひなの頭に痛みが走った。
と共に頭を過る記憶の欠片。
『亮介さー。ほんとに何処に就職したんだよ!』
『あー、内緒』
『言えよ~!ケチだな~』
『太一には言わねぇ。ひなにだったら聞かれたら言うけどな!』
『この、ケチやろうがっ!』
中学校の教室での亮介と太一の会話。
太一が持ってきてくれた大型の懐中電灯で明るく照された懐かしい教室で、亮介と太一は笑いあってそんな会話をしていた。
これは、仲良し8人組で中学校に集まる約束をしていた日の記憶だ。
ひなの忘れていた記憶の一部だ。
あんなに楽しそうだったのに……。
でも、その太一の笑っていた顔は偽物だったのかもしれない。
亮介の事をムカつくと言い切った太一を見たら、あの時の太一の笑顔の裏は、……笑ってなかったのかもしれない。
そう思うだけでひなの胸が苦しくなる。
太一の気持ちも衝撃的だったけど、……それよりも。……この二人の会話を覚えてるって事は、やっぱり私は中学校に行ってたんだ。
勿論、その場に亮介と太一がいたって事だ。
突然思い出した記憶は少ないながらも、ひながタイムスリップした原因を見付け出す手がかりに繋がっていく。
「明日は絶対に中学校に行かなきゃ!」
頭を抑えそう一人叫ぶと、痛みで止めていた足を再び動かし始めた。