仲良し8人組
『サトシと私は双子だった。サトシは私の弟だ。
だが、消えたサトシの事を覚えている人は一人も居ない。私も、つい最近までサトシという存在を忘れていたのだ。
それも全てボヌール社のせいだ。
小さい頃からずっと一緒にいた私とサトシは、大学院卒業と共にボヌール社の研究員として仕事をしていた。
これが、きっと失敗だったんだ。
もう今更の話だが』
サトシは消えた?
でも、サトさんは他の人達とも話していたし、名前も呼ばれていた。
もしかして、……サトさんの名前はサトシじゃない…のかも。
サトさんは、……サトシさんの双子の兄?
弟の名前を名乗っていただけ。
そう考えると、このノートを書いたのがひながサトシだと思い込んでいた人物。今、目の前で死んでいる人物が書いたものでも可笑しくない。
『私とサトシは共に生物の記憶を司る脳波の研究をしていた。
人間だけではなく記憶の残る全ての生き物を対象としたものだ。
《記憶を書き換える》
それが私達の研究テーマだった。
視覚と聴覚の両方からのアプローチによって、それに成功したのが今から7年前になる』
記憶の書き換え!
それに成功してるの!
う、……嘘だ…。信じられない。
でも、このノートに書かれている事が嘘だとも思えない。
『記憶を書き換えるというのは、なかなか簡単に出来る事ではない。なので、私達は記憶を消してしまうという発想に行き着いたのだ。
人というのはその場その場に対応していく様に出来ている。だから、ある記憶が消されたとしてもそれに対応しようと独自で自身の記憶を書き換えると仮定した。